月刊アフタヌーン / 通常連載

すべて忘れてしまうから

『すべて忘れてしまうから』は、月刊アフタヌーンの通常作品として記録されている漫画です。出版社は講談社。作者(作画)は雨夜幽歩。原作者などは燃え殻です。連載期間は2022年10月3日 - 2023年4月17日。

あらすじ・ネタバレ

大きな賞もヒット作もないまま小説を書き続けるミステリー作家のMは、ハロウィンの夜に恋人のFが突然いなくなったことを知る。彼女の姉はMが妹を殺したのではないかと疑うが、M自身も彼女の居場所を把握できず、警察に説明するにも手がかりが少ない。編集者から新しい連載として、消えた恋人についてのエッセイを書かないかと提案されたMは、周囲の人々へ聞き込みを始める。話を聞くほど、Mが知っていた彼女と、他人の記憶に残る彼女の姿が食い違っていく。失踪の謎を追う過程で、恋人をどこまで理解していたのか、忘れることと覚えていることの意味が浮かび上がる。

豆知識・雑学・よくある質問

原作は燃え殻による、日々の記憶や人との別れを綴ったエッセイで、漫画版もその記憶の曖昧さを物語の核に置いている。人は出来事を録画のように保存するのではなく、後から聞いた話や現在の感情によって記憶を作り替える。失踪したFについて、Mの記憶、家族の記憶、友人の記憶が一致しないのは、誰かが必ず嘘をついているからとは限らない。忘却は喪失である一方、苦しみを抱えたまま生きるための心の働きでもある。

読者の感想・考察まとめ

Mは探偵のように真相を追いながら、恋人のすべてを知りたいという欲望が相手を自分の物語に閉じ込める危うさにも直面する。Fの不在は、彼女が何をしたのかという謎だけでなく、残された人が他人の人生をどこまで語ってよいのかという問題を生む。記憶を文章にすることでMは彼女を留めようとするが、書かれた物語は事実そのものではない。忘れないことだけを愛の証にせず、分からない部分を残したまま他者を尊重することも、喪失の後の誠実さだと感じられる作品である。

読み方・略称・英題

すべてわすれてしまうから

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